『魔装機神F』発売記念 スペシャル対談 『魔装機神』〜その誕生から完結まで 寺田貴信 × 吉田渉 × 塚中健介

すべてはマサキとシュウ、二人の決着のために

塚中:マサキとシュウの関係については、どう描かれるのかとても楽しみですが、サキトやエリシアといった新キャラクターも登場しますよね。彼らの役割と、登場させた意図というのは?

寺田:ラ・ギアスの世界観を改めて説明するためですね。先程も言った通り、過去に『魔装機神LOE』をプレイした人、または『スパロボOG』シリーズのみをプレイしている人――つまり、昨今の『魔装機神』をよくご存じない方にも楽しんでいただくための措置です。あと、完結編で新規ユーザーの方を取り込むのは難しいとわかっていますが、少しでもとっつきを良くするためにも。だから、ラ・ギアスのことを何も知らないサキトと、彼にいろいろと説明するエリシアというキャラクターを用意したんです。ただ、「マサキ達メインキャラクターが最初から出ない、使えないのは嫌だ」という方もいらっしゃるでしょう。そのデメリットは承知しています。もう1つの理由として、マサキ達が所属していたアンティラス隊を、これまでとは少し違った視点から描きたかったことが挙げられます。

吉田:目線が変われば、強大な力を持つアンティラス隊が敵として映ることもあり得ます。魔装機神そのものがラ・ギアスの脅威にもなる存在だということを、今一度描写しようと思いました。

寺田:今回の物語がアルメラ共和国というラ・ギアスの辺境から始まるのは、その国に住んでいたティールやフィリスが魔装機神やアンティラス隊をどう思っているか、描くためでもありますね。

塚中:舞台はこれまでと同じラ・ギアスだけれど、プレイヤーには新鮮に映りますね。

寺田:とは言え、冒頭でラ・ギアスのことを何も知らないサキトがロボットに乗って戦うという展開は、わざと『魔装機神LOE』の第1話に似せてあります。シリーズをプレイしておられる方に向けての話ですが、それで過去に神聖ラングラン王国の視点で描いたものとの差が少しでも出れば、と。

吉田:アルメラは、今まで『魔装機神』の物語に絡んだことのない国ですからね。

寺田:だから、メカも思い切った設定にできました。

塚中:攻霊機レイブレードですね。

寺田:まず、アルメラが魔装機神や魔装機に対抗する兵器を開発しているという設定を思いつきました。あと、地上人召喚事件の時に地上世界から人型機動兵器が持ち込まれているので、それを積極的に研究し、取り入れようとする国があってもいいな、と。それで、『スパロボOG』に出ていたスーパーロボット、ヴァルシオン改・タイプCFのデータを応用して作ったヴァルシオーガを出したんです。あと、サキトの機体は、魔装機というカテゴリーの機体にしないで下さいというオーダーを出しました。魔装機神や魔装機に対抗する兵器なので、差別化を図りたかったんです。

吉田:そうでしたね。

寺田:吉田さんと話し合って、機体性能を決めて、そこから「攻霊機」という機体カテゴリー名を先に思いつきました。だけど、機体名がなかなか決まらなかったんです。で、結果的に思いついたのが「レイブレード」。実は、ウィンキーソフトさんの会議室には、『聖霊機ライブレード』というゲームのポスターが貼ってあって、行く度にそれを見ていたので……。

吉田:ある日、「レイブレードでどうですか?」って(笑)。

寺田:ちなみに、『聖霊機ライブレード』は以前にウィンキーソフトさんがリリースしたソフトで、バンダイナムコゲームスとは何の関係もないんですけどね(笑)。でも、『聖霊機ライブレード』という名前に馴染みがあったから、「攻霊機レイブレード」が個人的にしっくりきたんです。

吉田:さすがにびっくりしました。僕らも攻霊機の名前を考えていたんですけど、結果的に押し切られて、レイブレードになりました(笑)。

寺田:『魔装機神』には世に出てから長い機体が多いですからね。それらに匹敵するインパクトを持ちつつ、覚えやすい名前にしなければと思ってたんです。吉田さん達は相当驚いてましたし、最初は反対されましたが、心中密かに「インパクトはあるんだな」と思ってました(笑)。

吉田:問題はよく「ライブレード」と言い間違えることですね。

寺田:すみません、一番言い間違えていたのは、私です……。

吉田 塚中:(笑)


塚中:最後に、『魔装機神F』を楽しみにされているみなさまへ、メッセージをお願いします。

吉田:今回の『魔装機神F』では、シュウが味方陣営の指揮官的ポジションにいることで、言葉の重みが過去作と違うと思います。彼の言葉のひとつひとつを追いかけながらシナリオを進めるという楽しみが、本作では特に強いです。切り口がだいぶ違っていることに驚かれる方も多いと思いますが、新鮮な気持ちでプレイしていただけるとうれしいですね。

寺田:開発が中断された『魔装機神LOE』の続編を作ることは、私にとって長年の課題でした。そして、完結編である『魔装機神F』をリリースすることができ、感慨深いです。20年以上の歴史を持つスパロボの中でも『魔装機神』シリーズは特に長かったので。吉田さん達といろいろ悩んで作ったストーリーの是非についてはユーザーの皆さんのご判断に委ねることになりますが、マサキやシュウ達の戦いの結末を見届けていただければと思います。

寺田 貴信

株式会社B.B.スタジオ取締役

1969年生まれ、京都府出身。
スーパーロボット大戦シリーズのチーフ・プロデューサー。


吉田 渉

株式会社ウィンキーソフト所属

1972年生まれ、京都府出身。
『魔装機神F』の制作ディレクター。


塚中 健介

株式会社バンダイナムコゲームス所属

1984年生まれ、岐阜県出身。
「無限のフロンティア」シリーズ等のプロデューサーを務める。
他にも「PROJECT X ZONE」をワールドワイドに展開する等、様々な作品のプロデュースに携わっている。

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