『魔装機神F』発売記念 スペシャル対談 『魔装機神』〜その誕生から完結まで 寺田貴信 × 吉田渉 × 塚中健介

『魔装機神』の誕生

塚中:『魔装機神』シリーズは非常に息の長いシリーズですが、吉田さんと寺田さんの『魔装機神』とのファーストコンタクトはいつごろだったのですか。

吉田:第一作が出たときはまだユーザーでしたね。もちろん、ウィンキーソフトには入社してません。当時からロボットは――それはもう何でも――大好きでしたから興味を持っていました。ただ、ゲームソフトを頻繁に買うことはできなかったので、友人がプレイをしているのを脇で見ていたんです。だから『魔装機神』シリーズとのファーストコンタクトは一ユーザーとして、ですね。

塚中:そのころには、寺田さんはもう作る側にいらしたんですよね。

寺田:ええ、プロデューサーとして仕事をしていました。そもそもサイバスターというロボットが『スーパーロボット大戦(以下、スパロボ)』に登場したのは『第2次スーパーロボット大戦』からで、その後に『第3次スーパーロボット大戦』を発表し、さらにつづく『スーパーロボット大戦EX』で初めて舞台を地底世界ラ・ギアスに移したことにより、『魔装機神サイバスター』という作品の世界観が明らかになりました。ちなみに『第2次』の頃から、作り手側には『魔装機神サイバスター』を単体の作品にするという構想があったんです。もっとも、「後でそういうことが出来たらいいなあ」という願望に近かったんですが。結局、会社から正式に『魔装機神サイバスター』というゲームソフトのGOサインが出たのは、『第4次スーパーロボット大戦』の開発が終わった後でした。

塚中:ということは、ちょうど『第4次スーパーロボット大戦S』の立ち上げと同時期ぐらいなんですね。

寺田:そう。『第4次スパロボS』は私が、『魔装機神サイバスター』は私の先輩(注;スパロボの生みの親の一人であり、プロデューサーのじっぱひとからげ氏)が担当することになったんです。その後、『魔装機神サイバスター』というタイトルは諸事情で使えないことが判明し、『魔装機神 THE LORD OF ELEMENTAL(以下、魔装機神LOE)』に変更されました。当時の私は、開発を横で見ていただけに等しいんですが、個人的にわくわくしていたのを覚えていますね。何故かというと、自分がプロデュースした『第2次スーパーロボット大戦G』や『第4次S』にもマサキやシュウは出ていたんですが、彼らの過去をあまり知らなかったんです。もちろん、当時のスパロボのディレクター兼シナリオライターだった阪田雅彦さんの頭の中に設定はあったわけですが、私は詳しく教えてもらっていませんでした。仕方がないので、私の先輩に聞いてみたら、あの人も詳細は聞いていなかったという(笑)。なので、ユーザーさんと同じような感覚で『魔装機神 LOE』を楽しめました。「なるほど、マサキはこうやってサイバスターに乗ったのか!」みたいな感じで。

塚中:『第2次』から『第4次』までのスパロボでもマサキやシュウ達のバックグラウンドは断片的に語られていましたけれど、確かにちゃんとそういうところに触れたのは『魔装機神 LOE』からでしたね。

寺田:魔装機神や魔装機はSDではなく、リアルタイプで描かれ、戦闘シーンのエフェクトもすごく凝っていたし、キャラクターの表情パターンもかなりの数が用意されていて、びっくりしましたし、うらやましかった。あと、設定も色々と作ってましたね。

吉田:『EX』で明らかになったラ・ギアスの世界観が、『魔装機神 LOE』で一気に広がりましたよね。

寺田:ただ、設定をきちんと決めていなかった所も色々とありました。例えば、サイバスターのコックピット内部や、魔装機が手で持つ武器とか。魔装機神や魔装機の武器攻撃演出もきっちり決まってないものがありましたね。ハードの性能やROM容量の都合で仕方なかったんですが。

塚中:アカシックバスターって、毎回出し方が違いますよね。

寺田:そう。個人的には『魔装機神 LOE』のアカシックバスターが一番印象的でした。それまでのスパロボだと、サイバスターはマップで飛行形態であるサイバードに変形可能だったんですが、『魔装機神 LOE』ではそもそもマップに空中という概念がありませんでした。で、サイバードはどこで出て来るんだろうと思っていたら、アカシックバスターの演出に組み込まれていたという。

吉田:そこを更にややこしくしたのは、おそらく僕の責任だと思うんですが……というのも、ウィンキーソフトに入社して初めて担当した仕事が、『スーパーロボット大戦コンプリートボックス』のオープニングムービーだったんです。サイバスターのCGモデルとムービーを作ったのが僕だったんですけど、「アカシックバスターを撃って欲しい」というリクエストをいただいたので、「じゃあ見栄え優先で派手にやろう」ってことで、地面に剣を指したり魔法陣を描いたり、そこから火の鳥をだしたりと……ちょっとやりすぎましたかね。まあ若気の至りといいますか(苦笑)。

寺田:でも、あのムービーは、後々のアカシックバスターの演出の規範になりましたよ。あ、そうそう、後の話と言えば、『魔装機神LOE』をリメイクした時、新たに作らなければならない設定が多かったです。

吉田:最初の『魔装機神LOE』や『EX』でデザインが存在していなかった魔装機や魔装機神の武器ですね。

塚中:一ファンとしては、リメイク版でいろんなものが明らかになったなと思いましたよ。

寺田:デザインはウィンキーソフトさんにお任せしたんですが、私も「ここからビームを発射していたのか」とか、「こういう形の武器だったのか」などという感じで長年の謎が解けました(笑)。

寺田 貴信

株式会社B.B.スタジオ取締役

1969年生まれ、京都府出身。
スーパーロボット大戦シリーズのチーフ・プロデューサー。


吉田 渉

株式会社ウィンキーソフト所属

1972年生まれ、京都府出身。
『魔装機神F』の制作ディレクター。


塚中 健介

株式会社バンダイナムコゲームス所属

1984年生まれ、岐阜県出身。
「無限のフロンティア」シリーズ等のプロデューサーを務める。
他にも「PROJECT X ZONE」をワールドワイドに展開する等、様々な作品のプロデュースに携わっている。

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